遺伝
働き者の母と同じようになってきた目の前がチカチカしてゆらゆら揺れるから立てない動かず丸まっていれば時間とともに治る耳元に流れる脈動手足は勝手にガクガク震え動く立ち上がる度階段を上り下りする度血が集まらなくて苦しくなる息苦しくて心臓が痛いそのうち指先が第二関節から真っ白になるのだろうか今年に入って親戚が3人亡くなった毎日が永遠に続くように感じていた幼い頃とは違い死は身近に音もなく側にある人は死を前にした時死にたくないと言うようだアインシュタインもそう言って、あまりに平凡な言葉の為にドイツ語で何か言ったが看護婦が分からなかった等の諸説がまことしやかに囁かれている私の祖父は酸素マスク越しに自らを殴り殺せと言った3度出兵したからか苦しみに強いのだろうかそんな周りを困らせた祖父だが、亡くなる2日前に成人式の着物を見せに行った時は、家族が誰一人として見たことない祖父のピース姿で一緒に写真を撮った母がなけなしのお金で借りた振袖だった月曜日出勤します10:00〜16:00ご用命をお待ちしてますiPhoneから送信
猫がだらしなく横になっていた
近づいても逃げる事なく
緩んだ腹を見せたまま
目だけはじっとこちらを見て
鋭い肉食の口から
想像出来ない甘え声を出す
ゴロゴロと雷みたいに鳴らして
シロや、シロやい
タバコ売りのおばあさんは、
土やアスファルトのほこりに汚れた
アバラが浮き出た猫の背中を
愛おしそうに撫でる
老齢の猫はしなやかにシッポをぴんと立て
返事をするように鳴いては
身軽に立ち上がり足元に擦り寄る
桜の頃に
シロはぐにゃぐにゃになって
他のゴミと一緒にゴミ袋に入っていた
銭湯ではタバコ売りのおばあさんが
「年だから鼠も取れなくなって」
と話していた
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