チャーミングな父
簡単に信じるな。幼い頃に父から言われた言葉。だめだ無理だと言われて素直に信じるな人は簡単に「これはこうだから」と、パッと見た感想や思い込みで判断するが、その判断が確かか確認もしないで言った責任を取ることも、何の覚悟もなくいい加減なものだ。だから、そう言われたからと信じるな。知らない人に着いて行くなと習うだろう。自分に問え、ちゃんと確かめたか。自分の事なら特に。昨日まで自転車が乗れなかったからと、今日、明日その先に乗れる可能性を諦めるな。乗れるようになっただろう。99%駄目と言われたら、1%があると言い返せ。この世に絶対は無い。やらない言い訳を用意するような大人になるなと言われた。 泣き虫で、いじめられてばかり。イジけて泣いていた時、父は笑いながらよくそう言った。そのくせ父が1番「なんだお前、そんな事も出来ないのか」と言うのだ。理不尽で偏屈で自分の好きなものばかり優先する父。両親や兄弟から話が長いと煙たがられる父。何でも直せるから、いつだって頼られる父。極端で、すぐ怒ったり泣いたり、人前じゃ強がってばかりいる父。負けず嫌いで、人一倍努力家の父。そんな父だが、いつかは死ぬだろう。だから誰もが父を忘れてしまっても何度でも父の事を話そうと思う。私の話の中で父は生き続ける。そしてその父の話が血や肉となり、心が痩せ細り弱った人の栄養となる。何度でも可愛い父を、可愛いと言おう。チャーミングな父を。iPhoneから送信