心臓が枯れるまで
確か蜃気楼って砂漠を彷徨い歩いて、死にかけた時に見るものだったかしらふふ、自分でも笑っちゃう死にかけは走馬灯ねお盆の時期に見た綺麗な提灯が切なくて小さい頃に泣いてしまった人の一生は長いあまりにも長いのだでもそれが良い美しい結晶であり集大成だその美しさと儚さに目を奪われるなぜこれほど惹かれて憧れてしまうのか1人1人に色濃く映し出すあまりの情報量と輝きが目映く圧倒されてしまうどうか教えて欲しいその輝きと胸に迫る情動と積み上げてきた人だけが持つ眩いばかりの美しさをつぶさに教えて欲しいその煌めきを胸に閉まってああ知れて幸せだったと思いたい足るを知るとは言うが飽くなき好奇心と探究心が私を満たしてくれるようにまだ見ぬ世界をのぞけるように貴方の尊い一面を見せて少しでも愛の欠片を見てみたいの次回木曜日出勤します10:00〜16:00ご用命をお待ちしてますiPhoneから送信
会社に勤めていた頃の話だ
遅刻気味に向かった着替え室で
怖かった事がある
「…私、再婚するから仕事は今日でお終い」
慌てて着替えている自分に向けて
薄ぼんやりした表情のまま
背中越しに言われた
おめでとうを言うには
異質で暗すぎた
「尽くしてしまうの」
視点の定まらない瞳でぽつりと呟く
「好きになると、してあげたくなるの…」
弱々しい声だった
「だけど裏切られたら、
どうしても許せなくて…前もそうだった」
ピタリと私を見る
瞳孔の小さい目で独白が続く
「…裏切られたら…私許せない…」
事情も何も分からない
それも全く知らない人で
粟立つほど怖かった
俯きがちに
ロッカー内の荷物を鞄に入れていた
制汗スプレー、ハンドクリーム、
上着、扇子、化粧ポーチ、髪留め、
果物ナイフ、マスク、手袋…
「…私、幸せになれると思う?」
話す度に入れている手が止まる
動悸、息切れに救心のCMが突如脳裏で
くるくる回り出した
気づけば自分の息を止めていた
なんなんだ、一体
返事も碌にしないで自分の机に向かった
怖かったので気を紛らせようと
隣のデスクの人に聞くと
「…あー」
それだけだった
お昼休憩になり、その話を別の人にした
信じられないような表情で
「やば」と言われた
何が怖かったかといえば
誰もその女性を知らない事だ
私は誰に話しかけられたのだろう
今も思い出すと怖くなる
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